つたをたつ

ゲームや映像媒体等娯楽についてのブログ。たまにエッセイも。

チェーンメール

思い出話。

 

私が中学生の頃はガラケー全盛期で、当然LINEなんてものは無くて、みんなメールアドレスを交換してやりとりしていた。

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家から遠い学校に通っていた私は中学生になってから初めて携帯電話を持たされたので、そんな人間に十分な情報識別力というか、リテラシーみたいなものはなくて、当時の私は本当に危なっかしい携帯電話の使い方(怪しい懸賞に申し込んだり)をしていた。

 

そんなある日、私に人生初のチェーンメールが届いた。

内容は悪質なデマなんかではなくて、単なる不幸の手紙ライクなモノだったと記憶している。

 

同じ時間帯にクラスメイト数人から同じ文面の物が届いたから、ちょうど今自分のクラスに"感染"し始めたんだろうなと考える理性を残しつつ、とりあえず言われたとおりに電話帳の中から10人選んで転送した。

 

今でこそ、こういうのがインターネットのマナー違反というか、巨視的に見ればデマの拡散に繋がる……なんて事は理解しているのだけれど、当時の自分はそんなことは考えずにとりあえず乗っかっていた。

 

一斉送信してから数分後、友人のお兄さんからメールが届いた。

彼は小学校低学年の頃からの知り合いで、一つ年上とはいえよく一緒に遊んだ仲だった。チェーンメールを受け取った人の中に彼もいた。

 

彼は私がチェーンメールを送ったことにひどく怒っていた。

こういったくだらない事に多くの人を巻き込んではいけない、本当にメールを使わなくてはいけない時に回線が混雑したらどうするんだ。と、結構しっかりと叱られた。

幼馴染に初めて本気で叱られた私は狼狽えた。

その場しのぎで相手の怒りを鎮めようと思った私は自分も被害者の一人であるという事を強調しようと考え、苦し紛れに言い訳をした。

 

「だって……送らなきゃ不幸な事が起こるって書いてあるから……」

 

今これを書きながら自分にもかわいい頃があったんだななんて思い返している。

 

これに彼が返した一言は

 

「平気だって、何があっても俺が守ってやるからよ(^皿^)」

 

か、かっけぇ~~~。一体何から守ってくれるんだ。急に怖い顔に変わるGIF画像?(最近見ないよね)

この歳になって思い出すと、全身が痒くなるような一文だけれど、兄貴分の中学2年生が返信するメールとしては100点満点。顔文字のセレクトも絶妙。

 

当時の私はこの返信を震えるほどカッコいいと思い、自分も一年後にはこれくらい成長していたらいいなと心底思った。

 

 

これから数年経ってからの話。

(^皿^)の彼はドヤンになっていた。ド+ヤンキーである。

髪の毛を金髪にし、柄の悪い連中とたむろし、安全ピンで開けたピアスホールを母親に隠しながら生きていた。ちょっとかわいい。

 

私は彼と疎遠になっていたので、街でばったりあった時は本当に久しぶりに会話をした。

当時流行りはじめの電子タバコのアツさみたいなのを熱心に語ってきた。

 

「これからはヨ、電子よ電子!マジめっちゃ流行るからヨ!」

「すごいですね、さすがです」

アメリカとかみんな吸ってるゼ、300万人くらい!これって人口の10%だゼ!」

「10%……?アメリカの人口は3億近いし、1%では?」

 

この指摘が彼の堪忍袋の緖をズタズタにしたらしく、激昂した彼は私の胸ぐらに掴みかかり、テメセンパイニムカッテナマイッテンジャネゾオイなんて迫ってきたので、私はその場しのぎの言い訳で

「すいません、アメリカにそんな人がいっぱいいるわけないですよね。」

な~んてヘコヘコしたのだが彼の怒りは冷めることなく

「ざけんなよお前、今度改めて謝りに来いよ。」

なんて言われてしまった。

 

 

彼とはそれ以来会っていない。

 

 

 

 

(^皿^)みたいに爽やかだった彼はもう居なかった。

それが彼が不幸のメールを転送しなかったせいだとすれば、恐るべき効果だし、効果の発動の仕方がなんかネチっこくて嫌だなと思った。

 

全然キレるポイントが分からないヤンキー、不幸すぎるでしょ。